フィジタルな未来

ほんの2、3年前まで多くの社会でeコマースの存在感は薄く、実店舗なしで商品を販売することなど考えられませんでした。しかし、新型コロナの世界的流行によってeコマースへの注目が一気に高まりました。以前からのユーザーはよりオンライン販売に依存するようになり、全くの初心者ですらオンラインを利用せざるを得ない状況が生まれたためです。 

国連貿易開発会議の報告によると、2020年だけで世界全体の小売売上高に占めるeコマースの割合は16%から19%に増えています。この傾向はワクチン接種が進み、ロックダウンが緩和されても加速するとみられていました。

ところが、実店舗の営業が再開すると「小売業界に革命的な変化が訪れる」という大方の予想に反して、デジタルよりもアナログな買い物体験を重視する消費者の嗜好が明らかになりました。とはいえ、デジタル体験がコロナ以前に戻ることはありません。これからはいかにデジタルに適応していくかが課題となるでしょう。そのカギを握るのがフィジタルな体験です。 

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フィジタルとは?

フィジタルと言われてもピンと来ないかもしれませんが、一部の店舗ではすでに欠かせないものになっています。
「フィジタル」とは実店舗でのリアルな買い物体験とオンラインのデジタルな買い物体験を組み合わせたものをいい、ユニークかつインタラクティブな買い物体験を提供することが期待されています。聞き慣れない言葉かもしれませんが、フィジタル体験はすでにあなたの身近に存在しています。
例えば、シャネルでは試着室にARスマートミラーを導入し、そこに商品の詳細を拡大表示する試みが始まっています。また、ナイキが提供するNike+アプリを使えば、事前に選んだ商品を来店時に試着したり、セルフサービスのロッカーでピックアップしたりすることができます。もちろん、マクドナルドの巨大なデジタルメニューで注文をしたことがあれば、それも立派なフィジタル体験です。
サリネはそのような体験を数年前にダイヤモンド業界に導入しました。

 

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フィジタルなダイヤモンドの世界

ダイヤモンドはいつの時代も人々の注目を集めてきましたが、それらの起源やバックグラウンドについては極めて曖昧で、消費者は販売店の説明を鵜呑みにするしかありませんでした。サリネはこのような現状を打破し、消費者とダイヤモンドの距離を近づけるために、フィジタルの台頭を人工知能(AI)の技術と組み合わせました。

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フィジタルな旅

そうして到達したフィジタル体験の一つの終着点がサリネのダイヤモンド・ジャーニー™・レポートです。これは、誕生から現在に至る道のりを記したダイヤモンドの履歴書のようなものです。店舗を訪れた買い物客は陳列されたダイヤモンドから気になるものを選び、それを販売員に伝えます。販売員がそのダイヤモンドに紐付いた固有のID番号をデジタル端末に入力すると、端末の画面に採掘現場から展示ケースに収まるまでの全行程が一瞬で表示されるというわけです。 

これなら売り場にいながらダイヤモンドの起源を辿り、10億年以上前にそれが生まれた場所、原石が発掘されたときの様子、計画・研磨の過程などを知る旅に出掛けることができます。 

このような徹底的なトレーサビリティは、ダイヤモンドの原産地に関する消費者の疑いを払拭し、サリネのダイヤモンドがエシカル(倫理的)なことを証明する旅でもあります。

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より豊かな店舗体験

サリネのダイヤモンド・ジャーニー™・レポートと対をなすのが「3D-オリジン™」と呼ばれる販売店向けツールです。これは実際のダイヤモンドのレプリカを3Dプリントで出力するツールで、より豊かで奥行きのある店舗体験を提供するために開発されました。 

フィジタル体験の魅力はほかにもあります。これは、サリネのダイヤモンドが4Cの正確かつ客観的で検証可能な鑑定を経たこと保証するAIレポートによって実現されるものであり、4C鑑定の限界すら超えるものです。業界をリードするAI技術がこれまで見ることのなかったダイヤモンドのファセットを明らかにしたといえるでしょう。

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まとめ

ショッピングではフィジタルの傾向がますます強まり、今やなくてはならないものになっています。サリネはこのような変化の中をダイヤモンド業界の先頭に立って走り続けています。フィジタルな体験が開く新しい扉はより信頼性が高く、透明性の高いダイヤモンドのために開かれるに違いありません。