ダイヤモンド業界で起こる急速な進化

2023年を迎えた現代社会が10年前から大きく変わったことは紛れもない事実です。新しい世代の台頭、価値観の急激な変化、人工知能の普及が進む現在、私たちは全く新しい生活様式と時代間に横たわる大きなギャップに戸惑っています。これは19世紀の産業革命に匹敵する変化といえるかもしれません。
 
ダイヤモンドのような長い伝統を持つ業界は、このような変化にも動じることはないと思われるかもしれませんが、それは間違いです。この記事ではAI(人工知能)からラボグロウン・ダイヤモンドまで、進化を続ける業界の現在を切り取り、近い将来起こりそうな変化を予測してみます。

 

持続可能性と透明性の要求

 

あらゆる変化は世代交代をきっかけに始まります。ダイヤモンド業界もその例に漏れず、2000年代初頭から台頭してきた新世代の期待に応えられなくなったことで売り上げが明らかに減少していました。新しい世代は「贅沢品を手に入れること」以上の何かを求めていました。
 
インターネットの普及とデジタル化の波に着いていけない業界は、次々と淘汰されていきましたが、ダイヤモンド業界もそれを待っている状態でした。追い打ちをかけるように紛争ダイヤモンドをめぐる論争とそれに対するセレブ達の反応は事態を悪化させていました。現代の消費者は自らの価値観や理想、現実に適う持続可能な製品を望んでいましたが、ダイヤモンドはその要望に応えることができていませんでした。 
 
消費者が求めていたのは、倫理的に調達されたことを裏付けるストーリーと完全なデジタル化でした。こうした本質的な需要を知ることで業界のあるべき姿が見えてきました。 

 

AIと天然ダイヤモンドの出会い

 この10年でAIは生活の至る所に浸透しました。ダイヤモンド業界もこの大きな流れを無視できなくなることは予想されていましたが、それがトレーサビリティ(追跡性)とトランスパレンシー(透明性)による消費者の教育にまで至り、業界に全く新しい魅力的な光をもたらすと予想できた人は多くありません。以下ではダイヤモンド業界の技術リーダーであるSarineが天然ダイヤモンドの魅力を最大限に引き出すためにどのようにAIを活用しているかを紹介します。

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完全なトレーサビリティ

 パイプライン全体にわたってAIを搭載したマシンとソフトウェアが導入されたことで、生産から製造、そして陳列ケースに至るダイヤモンドの道のりを完全に追跡できるようになりました。ひとつのプロセスを通過するたびにダイヤモンドの固有のデータが転送され、Sarineのクラウド内に保存されます。これにより「真の透明性」が単なるスローガンではなく、データに裏付けられることになります。

 

AI鑑定

 何世代にもわたって、ダイヤモンドの鑑定はラボで手作業で行われるものでした。それは必ずしも一貫性があり正確なものとはいえませんでした。専門家といえども疲れたり、病気になったり、気分に左右されたりするものです。そのため、しばしば在庫は積み上がり、小売業者は注文に不備が生じていました。一昔前まで鉱山から小売店に至るダイヤモンドの道のりは、とても苛立たしく、時間のかかるものだったのです。 

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変化が始まったのは8年前でした。Sarineが提案したAI鑑定によってダイヤモンドの鑑定は4Cを超える精度を持つ自動化されたプロセスへと生まれ変わりました。さらに、AI鑑定が製造行程にも導入されたことで製造元から小売店に届くまでのダイヤモンドの道のりは、もっと効率的で費用対効果に優れたものになりました。 

 

小売業者の革新

 さまざまな小売業界でフィジタルな購買体験が導入されている現代で、ダイヤモンド業界が同じ方向に舵を切ったことはある意味で当然のことです。無機質なディスプレイが並ぶ退屈な店舗体験の時代は終わりつつあります。小売業界に新たに登場した販売ツール、Sarine Diamond Journey™は完全デジタルのデータに基づくダイヤモンドレポートです。それはダイヤモンドのストーリーを魅力的な言葉で現代の消費者に語りかけます。
 
Sarine Diamond Journey™ はダイヤモンドを覆っていた神秘のベールを取り除きます。ダイヤモンドが鉱山で倫理的に採掘されたことを明らかにし、その製造、鑑定、店舗までの道のりを鮮やかに照らします。最も重要なのは、このトレーサビリティツールが消費者に完全な透明性を提供することです。詳しくはダイヤモンドジャーニートレーサビリティのウェブサイトをご覧ください。 

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ラボグロウン・ダイヤモンド

 長年にわたり、ダイヤモンド企業は消費者にさまざまな角度から影響を与え、良好な関係を築くための取り組みを行ってきました。その中でも昨今最も話題になっているトピックのひとつがラボグロウン・ダイヤモンド(LGD)の台頭です。 


その良し悪しについては古くから議論がありますが、統計を見ればそれが意味のあることは明らかです。Rough Polishedのウェブサイトによると、LGDが小売業者にもたらす利益は天然ダイヤモンドの16%~40%を占めており、その影響力は今後ますます大きくなるとみられています。

 

まとめ

 5番街の高級店で神秘的なダイヤモンドを眺めるという時代は過去のものとなり、今やデジタル化された宝石のための新たな場所が確保されつつあります。ダイヤモンドは「追跡可能・透明・完全に倫理的」であるべきというのが現在のダイヤモンド業界の共通認識です。業界はこれまで以上に協力体制が整っており、持続可能なダイヤモンドに向けて歩みを進めています。世界で最も愛されている宝石にとって、未来はさらにエキサイティングなものになるでしょう。