ダイヤモンドの供給ラインは、鉱山から消費者に至る非常に長い軌跡です。上流の採掘段階から、中流のプランニング・カット・研磨段階、下流の卸売・小売業者から消費者に至る、原石が宝石に生まれ変わるまでの軌跡は複雑なものですが、それを予測するのは決して難しいことではありません。
しかし、近年は、こうした供給ラインにわずかながら重大な変化が生じています。より賢く要求の多い消費者の台頭により、消費者が望む製品を望むタイミングで提供することが、本ラインの下流においてますます重要になっているためです。オンライン情報やオンラインショッピングの拡大より、消費者が次に何を望むか、もはや待っているだけでは十分ではない時代が到来しています。そのため小売業者は、ターゲットの市場の動向や需要の変化を積極的に把握することで、これらの市場をリアルタイムで満足させられる体制を整備する必要に迫られています。
従来の供給ラインでは、鉱山や製造業者が下流の販売業者に手持ちの製品を提供してきました。しかし、今日の販売業者は、特定の消費者の要求を満たせる特定の商品の提供を求められています。そのため、製造業者は、小売業者の要求に合った製品を提供できる方法を模索することで、競争力を保ち、相互利益に基づく確固たる連携を小売業者と維持する必要があります。これが、供給ラインの逆上、「リバースパイプライン」です。
これはつまり、ダイヤモンドの供給ラインが、世界中の様々な小売市場の消費者需要に基づく「需要主導」であることを意味します。消費者の需要はそれぞれの小売業者の所在地や顧客ベースにより異なりますが、需要主導の原則は世界共通です。
一方通行の供給モデルから需要主導型リバースパイプラインへの進化は、データがあってこそ実現したものです。
スキャニングに基づくダイヤモンド解析技術がSarineのDiaMension®の誕生に伴い約30年前に導入されて以降、入札から製造、グレーディングに至るダイヤモンドサプライチェーン全体が、データにより完全に関連付けられてきました。カットプラン、バランス、内包物解析データなどのダイヤモンドに関する正確かつ綿密なデータが、製造過程のあらゆる段階で収集・保管されます。これらのデータを集計・分析・活用することで、顧客の要求に基づく固有の特徴を備えた最適なダイヤモンドを製造できるのです。
小売業者がサプライヤーに新製品を注文する供給ラインの後期段階では、SarineのAIによる高度4Cグレーディング、ライトパフォーマンスグレーディング、ダイヤモンドジャーニー™トレーサビリティーデータが、各地域における消費者市場の現状に基づき、より効率的に利益化する調達判断を実現します。
COVID-19の世界的な感染拡大に、世界中の市場が驚かされました。大半の業種の企業が、これまでとは異なる運営体制への切り替えを求められ、バーチャル会議、オンラインショッピング、オンライン注文の路上受け取りなど、ロックダウン中に社会的距離を確保できる様々な方法が企業により模索されました。
ダイヤモンド業界では、デジタル入札が対面での原石取引に代わる実用的な手段として本領を発揮しました。特にダイヤモンド供給ラインに関しては、あらゆる事が起こりうる可能性と、不測の事態に備える重要性が、突然の危機の発生により実証されました。ですが、「需要主導」であれば準備万端というわけではありません。消費者の要求を把握していても、危機発生時を含むあらゆる状況下で消費者の要求に適切かつ効果的に対応できるとは限らないからです。それには、需要への対応能力が必要とされます。
今日のダイヤモンド供給ラインは、鉱山から小売業者への流れだけでなく、小売業者から鉱山への流れによっても構成されます。消費者需要は、必要なダイヤモンドの種類、タイミング、場所を左右する最も重要な要素です。Sarineは、この供給ラインを「需要主導型」からさらに「需要対応型」へと進化させることで、業界を先導しています。
では需要対応型とは、具体的に何を意味するのでしょうか。それはつまり、需要に動かされるだけでなく、需要への対応能力を供給ラインに備えることを意味します。消費者主体の今日のサプライチェーンでは、販売フロアでの需要の変化に対応し、新製品を迅速に送り出す必要があります。データはこうした対応能力の鍵です。Sarineは、データに基づくインフラで供給ライン全体を支えることで、変化し続ける市場での需要対応能力を確保しているのです。
Galaxy®による内包物解析から、Advisor®による原石加工プランニングやeGrading™に至るまで、Sarineは、正確なダイヤモンドデータの提供を通し、サプライチェーンでの柔軟性の確保や、ダイヤモンド供給ラインの「需要対応型」への進化をサポートしています。